AMHやFSHの数値によって妊娠率は変わらない
今日は医学的な話題です。私にとってちょっと嬉しい論文が出ていましたので、ご紹介します。
AMH低値、FSH高値は未来のリスクだと以前のブログ(以下参照)に書きました。
上記のブログでも、未来の(閉経)リスクではあるかもしれないけれど現時点の不妊の原因ではないと書きましたが、今回の論文でそれが裏付けられました。
もともとAMHやFSHはそれぞれでばらつきが非常に大きく、高いからいい、低いから悪いと断言するには非常に難しい検査でした。(正規分布しない数値であり正常値・異常値の閾値の決定ができない)
不妊の原因だという証拠がないままに一般的に検査されていましたが、AMHは本当に不妊の予測ができるのか?ということを検証した論文です。
簡単に解説すると、30-44歳の女性を対象に、AMHが0.7未満か0.7以上かで分けて、その後の妊娠率を見たものです。
すると6周期後、12周期後で妊娠率は変わりませんでした。
また、過去に妊娠したことがあるかどうかで比べてもAMHの数字に大きな差はありません。なので、AMHが低いから不妊なのだとショックを受ける必要はありません。
FSHやインヒビンBの数値でも分析されていますが同じような結果でした。
参考:JAMA
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2656811
*PCOSや卵管閉塞、子宮内膜症など、他に不妊の原因になりそうなことがある場合はこの対象に含まれていません。
じゃあ、AMHをはかっても意味がないの?
AMHやFSHの数値は、卵巣刺激に対する反応性に違いがでます。
わたしのようにAMHが低い場合には、しっかり刺激しないと卵胞が育ちにくいということが言えるようです。
自然周期・低刺激をウリにしている体外受精は日本ではわりとよく見かけますが、世界的には一般的でないようです。しっかり刺激して、しっかり採卵して、妊娠を目指すのが一般的なようでした。AMHはその時の刺激の方法を選ぶ時に一助になるとのこと。
AMHが低い場合、刺激しすぎると卵子が枯れて閉経すると言われていますがこちらも証拠がないんですよね…
このまま自然周期のクリニックにいてもいいものかどうか、悩んでしまっています。