女医が経験した不妊治療のリアル

産婦人科医ではない女医が、不妊治療を受けることになりました。自分の専門外のことなので勉強したことなどを残していきたいと思います。高FSH・低AMH、両側卵管狭窄、受精障害疑い

入院・流産手術

久しぶりの更新になりました。

前回の更新後、新鮮初期胚移植で幸運にも妊娠判定をいただきました。

しかしその後の診察で、成長が遅かったり、心拍確認はできても心拍が遅かったり、、、

流産の可能性が高いと言われて、祈りながら過ごしたけれどやはり心拍確認できなくなり8週に入ったところで流産の診断に至りました。

クリニックではすぐに手術を勧められ、紹介状を持たされましたが、家に帰ってから自分でいろいろ調べたり産婦人科の友人に連絡したりして、待機療法を希望したので別の病院へかかりました。

 

待機療法はいつ出血するか分からない、何かあったときには緊急入院になるので病院的には負担が大きいと思われます。かかった病院では快く引き受けてくれ、本当にありがたかったです。

そしてそこの先生が「まだ若いし、自分の赤ちゃんを抱っこできる日が来ると思いますよ」となにげなく言ってくれた言葉に本当に励まされました。もちろん何の根拠もありませんが、夢にみた妊娠からの流産で悲嘆の気持ちでいっぱいだったので、その一言がどんなに嬉しかったか。

医師として、根拠のないことは言えないと思っていましたが言葉の力はすごいです。今後の自分の診療でも患者さんの勇気が出るような言葉を使いたいと思いました。

 

さて、その後3週間待機していましたがフルタイム勤務にジム通いも再開していても一向に出てこず再診のときに手術をお願いしてきました。

いつかは必ず出てくるから待ってもいいよと先生は言ってくれましたが、このまま待っていても生理の再開がどんどん遅れそうで、覚悟を決めました。

そして今まさに入院中です。

実は昨晩からわずかな出血が始まったので、もう少し待てば自然と出てきたかもしれませんが…

今回は手術になったことで、染色体検査をお願いしています。

自費です、値段聞いていないのですがいくらなんだろう…

これで不育症の可能性がないかなど少しでもヒントが増えるといいなと思っています。

手術操作による内膜の障害など心配はありますが、ここまで来たら先生に任せるしかないです。

明日の手術、怖いけど頑張ります。

 

 

AMHやFSHの数値によって妊娠率は変わらない

今日は医学的な話題です。私にとってちょっと嬉しい論文が出ていましたので、ご紹介します。

 

AMH低値、FSH高値は未来のリスクだと以前のブログ(以下参照)に書きました。

drmuse.hatenablog.com

 

上記のブログでも、未来の(閉経)リスクではあるかもしれないけれど現時点の不妊の原因ではないと書きましたが、今回の論文でそれが裏付けられました。

 

もともとAMHやFSHはそれぞれでばらつきが非常に大きく、高いからいい、低いから悪いと断言するには非常に難しい検査でした。(正規分布しない数値であり正常値・異常値の閾値の決定ができない)

不妊の原因だという証拠がないままに一般的に検査されていましたが、AMHは本当に不妊の予測ができるのか?ということを検証した論文です。

簡単に解説すると、30-44歳の女性を対象に、AMHが0.7未満か0.7以上かで分けて、その後の妊娠率を見たものです。

すると6周期後、12周期後で妊娠率は変わりませんでした。

また、過去に妊娠したことがあるかどうかで比べてもAMHの数字に大きな差はありません。なので、AMHが低いから不妊なのだとショックを受ける必要はありません。

FSHやインヒビンBの数値でも分析されていますが同じような結果でした。

 

参考:JAMA

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2656811

PCOSや卵管閉塞、子宮内膜症など、他に不妊の原因になりそうなことがある場合はこの対象に含まれていません。

 

じゃあ、AMHをはかっても意味がないの?

 

AMHやFSHの数値は、卵巣刺激に対する反応性に違いがでます。

わたしのようにAMHが低い場合には、しっかり刺激しないと卵胞が育ちにくいということが言えるようです。

自然周期・低刺激をウリにしている体外受精は日本ではわりとよく見かけますが、世界的には一般的でないようです。しっかり刺激して、しっかり採卵して、妊娠を目指すのが一般的なようでした。AMHはその時の刺激の方法を選ぶ時に一助になるとのこと。

AMHが低い場合、刺激しすぎると卵子が枯れて閉経すると言われていますがこちらも証拠がないんですよね…

 

このまま自然周期のクリニックにいてもいいものかどうか、悩んでしまっています。

 

2周期…変化なし

久しぶりの更新になります。

卵管形成術をしてから、自然妊娠を目指して2周期が過ぎました。

最初に妊娠を望んだ時と同様、月経が近づくとそわそわして、そして来るとがっかりしています。フライングしまくってしまう、、、

受精障害があるかもしれないのに無駄な挑戦なのかなぁと悩んだり、低AMHだから早く体外受精に戻さないと閉経してしまうんじゃないかと不安にかられたりしています。

でも体外受精のときの身体的・経済的負担からは一旦離れられていて、少し体が休められているような感じです。精神的な辛さは変わりませんけどね〜。

FTをしてから3-4ヶ月での妊娠率が80%というデータもあるので、年内はタイミングのみでと思っていますが、そのあとまたあの体外受精の処置の日々と思うと…。

卵管は通ったわけだし、タイミングとIVF(私の場合はICSIですが)を体と心の負担をみながら交互に取ったほうがいいのかもとも考えます。

実際、採卵のころが学会と重なっていたり仕事が休みにくいタイミングだったりもするので。

低AMH、受精障害は直接的な原因かはわかりませんからね。

あ〜正解がない。誕生日がきて年齢が上がっていくのが初めて嫌だと思っています。

 

 

卵管鏡下卵管形成術

受けてきました。

結果、両側卵管に癒着があったということで、それを剥がしてもらって終了です。

 

手術といっても膣から管を入れて卵管の中を通していくだけなので、体の表面に傷がついたりはしません。

なので付き添いはなくても大丈夫と言われて1人で行って1人で帰りました。

前日夜9時から絶食だったのが辛かった!
朝早くにおなかをすかせたまま家を出て、病院についたらすぐに呼ばれました。

点滴の針を入れてミダゾラムという麻酔薬(大腸カメラなどの検査でも使う)を入れたら、視界が歪んでうとうとします。痛み止めの点滴も使ったようでした。

弱い麻酔薬なので声をかけられれば目が覚めます。実際に卵管の中の画像を見せてもらいました。

終わった後はベッドで3時間ほど安静にするのですが、2時間ほどたつと薬も抜けて来てもう眠れない、となってしまいました。

ミダゾラムには逆行性健忘と言って点滴している間のことを忘れてしまう作用があるので、
終わってみてから画像や話した内容をしっかり思い出してみようとすると少し難しかったです。
診察の時に聞いて癒着していた場所などを聞いて帰りました。

3時間たち、いざ起き上がってみるとベッドではもう何ともないと思っていたのにフラフラして立ったまま着替えるのが少し大変でした。

お会計をして外に出て、おなかは空いているはずなのによく分からない感じだったのでフラペチーノ飲みました。笑

この日は仕事を休みにしましたが、やっぱ働くのはキツかっただろうなと思いました。

 

1週間は夫婦生活禁止なので、その後からチャレンジ開始です。

年内は自然に任せてみようと思っています。

体外受精のふりかけ法での受精がゼロで受精障害かもしれないのは懸念事項なので、年内でダメだったら体外・顕微授精に再チャレンジかなぁ。

もしかすると染色体異常も調べた方がいいかもと思っていますが。

 

しかしとにかく不妊の原因が1つはわかって、しかも治療できるものだったということでいつもより前向きな気持ちになれています。

 

自然周期法3周期目 D11 採卵

今回の採卵では成熟卵が一つでした。

フェマーラで刺激したのに、一つしか取れなくて、少しショックでしたが先日のエコー所見では大きく育っている卵胞が一つだけだったのであまり期待していなかったのもあって受け止められました。でもやっぱり卵巣機能が悪いからなのか、とは考えてしまったけれど。

とはいえ、今の自分の体で勝負するしかない。その中で精一杯やるしかない。

 

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画像引用: news.mynavi.jp

 

今回は顕微授精(ICSI)、初期胚での凍結予定です。

無事に受精して分裂してね。

今日はクリニックがとっても混んでいて、お昼頃出られると思ったのに出る頃には14時で、珍しくお仕事がおやすみで一緒に来てくれた主人が空腹でイライラしてしまって申し訳なかった〜。わたしのせいでごめんねって毎度思ってしまう。

 

さて、今回凍結にしたのは、今月にFTを受ける予定だからです。

排卵が早かったから月経のタイミングが早まるとFTの日程とかぶってしまわないか心配です。

FTは針金くらいのほそーいカメラのついている管を入れるのですが、月経中だと当然視界が悪くて、正しい評価ができないかもしれません。せっかくやるのだから意味のある検査・治療であって欲しい。。。

 

FTがうまくいったら、数ヶ月は自然妊娠にチャレンジしたいと思っています。受精障害かもしれないのが懸念事項だけれど、体内と体外の環境は違うことを信じて。

自然周期法3周期目 D10

ブログの更新が止まってしまっていました。

 

気を取り直して3周期目もクリニックに通っています。

今回もフェマーラで低刺激を加えています。

本日D10の診察だったのですが、なんとLHサージが起きていて排卵直前の状態で、急遽明日採卵になりました。祝日でよかった…!

D3の診察で右の卵胞がすでに12mmくらいで大きく、前周期の遺残卵胞かと思っていましたがそれがすくすくと大きくなり、本日24mmに。その他の卵胞はまだ12mmと8mmなのですがいくつ採卵できるかなぁ〜

 

 

先生は受精障害とは明言しなかったけれど(明確な診断基準もなく、2周期3個分では判断ができないのかも)、次は全部顕微にしますと言われました。やっぱりね〜。

 

明日は祝日なので、主人も一緒に来てくれるみたいです。うれしい〜〜

受精障害

日曜日に桑実胚まで育ってくれたたまごちゃんの成長が止まり、凍結もできなかったことがわかりました。

わたしたちの初めての受精卵。お迎えできなくてごめんね。

 

気をとり直して次回の作戦を考え中。

初回IVFでの受精障害の発生率は15%程度、そのうちで2回目も受精障害が発生したのは40%。また初回以外の IVF で受精障害だったときに引き続く IVF で受精障害となる確率は29%という報告があります。

このデータからは、一度受精障害があると、その後も受精障害の確率が29-40%あるので、やはり受精しないリスクが高いと思います。

男性因子、すなわち精子の状況が悪くないため、ほんとうに受精障害なのか、まだふりかけ方で試してみたいのが本音です。

 

採卵数に対しての受精障害の頻度は、IVFでもICSI(顕微受精)でもほぼ変わらないデータも出ていて、非常に悩みます。

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出典:http://www.jsog.or.jp/PDF/60/6009-377.pdf

上の表の解釈がいまいちわからない…詳しい説明がついていませんでした。

採卵数が1個だけならIVFでもICSIでも受精率は変わらない。

3個ならICSIの法が良好。でも4個ではまたとんとんになっているし…

おそらく1回の採卵処置に対しての卵子の個数を示しているんだと思います。

 

今いっているクリニックは低刺激法で一度のたくさんのたまごちゃんは取れませんから、4個以上あればひとつも受精しない可能性は6.5%と低くなりますが、チャレンジするにはその周期をフイにしてしまうリスクを負う。

ICSIでの受精障害の出現率は5.6%と算出されているので、やっぱり次回はICSIにするのが安全ではあるのかも。